バレリアンは睡眠の質を改善するのか?— 8週間の臨床試験による検証
- outlapjp
- 2月20日
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更新日:2月24日

睡眠不足や質の悪い睡眠は健康に悪影響を及ぼし、長期間にわたると生活の質の低下や社会経済的負担の増加につながる。睡眠障害の治療にはメラトニンや市販薬(ジフェンヒドラミン、ドキシラミンなど)が用いられるが、副作用が懸念される。そこで、伝統的なハーブであるバレリアン(Valeriana officinalis L.)が代替手段として注目されている。
本研究では、睡眠に悩む成人80名を対象に、バレリアン抽出物(VE)またはプラセボを8週間摂取する無作為化二重盲検プラセボ対照試験を実施した。睡眠の質を評価するため、ピッツバーグ睡眠品質指数(PSQI)、手首型アクチグラフィ(WA)による入眠時間や実際の睡眠時間、睡眠効率を測定した。さらに、日中の眠気(ESS)、不安レベル(BAI)、目覚めの爽快感(VAS)などの指標を用いた。さらに、被験者の一部(各群20名)を対象にポリソムノグラフィー(PSG)を実施し、詳細な睡眠パラメータを解析した。
その結果、VE群ではプラセボ群と比較して、PSQIスコアが有意に改善(p < 0.05)し、WAによる測定では入眠時間や実際の睡眠時間が試験期間を通じて向上した(p < 0.05)。睡眠効率も改善し(p < 0.05)、BAI(不安)、ESS(日中の眠気)、VAS(目覚めの爽快感)にも有意な改善が認められた(p < 0.05)。PSGの結果でも、睡眠時間、入眠時間、睡眠効率が有意に改善した(p < 0.05)。試験期間中、重篤な副作用は確認されなかった。
本研究の結果から、バレリアン抽出物は睡眠の質を改善し、不安や日中の眠気の軽減にも効果を示す可能性があることが示唆された。