不眠症はなぜ起こるのか?脳回路との関係を解明
- outlapjp
- 2月20日
- 読了時間: 2分
更新日:2月24日

不眠症はうつ病に次いで2番目に多い精神疾患であるにもかかわらず、その神経生物学的メカニズムの解明は十分に進んでいない。本研究では、不眠症の定義と発症率を整理し、24時間の時間軸における主観的・客観的特徴を検討する。その上で、不眠症を発症しやすい要因として、遺伝的素因、幼少期のストレス、重大なライフイベント、脳の構造と機能の関与について詳しく考察する。これらの知見を統合すると、不眠症の発症リスクは概日リズムや睡眠恒常性を調整する回路ではなく、情動や覚醒を制御する脳回路に起因する可能性が高いことが示唆される。特に、本研究では「不眠症の脳モデル」を提示し、不眠症になりやすい人は、青斑核が通常睡眠中に休息すべきレム睡眠時でも、特定の脳ネットワーク(サリエンスネットワーク)からの入力を受けやすくなっている可能性を指摘する。この脳の過敏性が、睡眠中の適応不足を引き起こし、慢性的な覚醒亢進状態へと悪化させ、結果的に不眠と精神的健康リスクの増大につながると考えられる。この脳回路の過敏性は、主観的には「片目を開けて眠るような感覚」として認識される可能性がある。本モデルは、新たな治療法の開発や動物実験を加速する可能性を持ち、不眠症の神経科学的研究の進展に貢献すると期待される。