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不眠症への新たなアプローチ—脳刺激療法の現状と展望

  • outlapjp
  • 2月24日
  • 読了時間: 2分



認知行動療法や薬物療法が一定の効果を示しているにもかかわらず、多くの不眠症患者は十分な改善が得られていない。本研究では、不眠症治療における脳刺激療法の現状を体系的に整理した。MEDLINE、Embase、PsycINFOのデータベースを用い、2023年3月24日までに発表された関連研究を検索し、アクティブな刺激条件と対照群を比較した試験を対象とした。選定された17の対照試験(対象者967名)では、反復経頭蓋磁気刺激(rTMS)、経頭蓋電気刺激(tES)、経皮的耳介迷走神経刺激(taVNS)、額冷却療法が検討されたが、深部脳刺激や前庭刺激、聴覚刺激を用いた試験は含まれなかった。いくつかの試験では、rTMSやtESによって主観的および客観的な睡眠指標が改善する可能性が示唆されたが、研究方法の制約やバイアスの影響により、結果の解釈には慎重さが求められる。額冷却療法では主要評価項目において有意な群間差は認められなかったが、入眠までの時間が短縮される傾向が見られた。また、taVNSの試験では、ほとんどの評価指標においてアクティブ刺激が対照群を上回る結果は得られなかった。脳刺激による睡眠調節の可能性は示唆されるものの、不眠症の生理学的メカニズムや病態生理に関する知見にはまだ不明な点が多い。治療法として確立するためには、最適な刺激プロトコルの開発や、プラセボ対照試験における優位性の証明が不可欠である。

Brain stimulation techniques as novel treatment options for insomnia: A systematic review

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